マンションで何十匹も犬を飼っているおばあさんが見つかる。隣人大迷惑も、「離れたら生きていけない!」
中国のマンションで、野良犬を何十匹も集めてきて飼っているおばあさんがみつかったという。ネットユーザーからはすでに「愛情深い老人」だと称賛されているようだが、となり近所は大迷惑。犬を譲らないか聞いても、「お互いによりそって生きているので、犬たちと離れられない」とおばあさんは話す。その裏には貧乏生活の中でさみしい生活を送るおばあさんの悲しい境遇があった。
▼マンションで新しく生まれた子犬たち
犬屋敷ならぬ犬マンション!何十匹も犬を飼うおばあさんが出現
中国ニュースサイト「新浪網」が伝えた。
(※翻訳は当ブログによる)
おばあさんが何十匹も野良犬を飼い、離れたら生きていけないと話す
陝西省西安市に、ネットユーザーから「愛情深い老人」と称賛される、鄭という名字のおばあさんが住んでいるという。しかしこの老人がこのマンションに住んで3年になるが、隣人と不動産業者は頭を悩ませている。というのも彼らは“鄭おばあさん”が拾ってきた野良犬の迷惑に耐えられなくなっているのだ。隣人が文句を言っても、おばあさんは「私と犬たちは一蓮托生、犬たちがいなくなったらどうやって生きていけばいいかわからない」と話すのだという。
▼おばあさんと犬たち
この鄭おばあさんは今年で78歳、夫は早くに亡くしている。鄭おばあさんは清掃員として、廃品の回収をしながら、娘を育てたという。娘のことを話すと、鄭おばあさんの表情は曇る。「娘は嫁に行ってからというものそれぞれに生活があるので、あまり帰ってこないのよ」。鄭おばあさんは娘の電話番号も知らないというが、孫の年齢が10歳だということは知っているという。孫のことを話すときには、老人のしわだらけの顔に笑顔が見えた。
▼マンションの廊下はまるで犬天国
情報通の住人によれば、鄭おばあさんと同じ階には5件の部屋があるが、現在は2件しか住んでいないという。残りの3件はすでに引っ越していったが、その後なかなか借り手がつかないという。この階でエレベーターを降りると、異臭が鼻をつく。
おばあさんは、昼間は廃品を集めに行き、夜になって帰ってくる。おばあさんが玄関を開けるとすぐに、部屋の中で1日留守番していた何十匹の犬たちが廊下にあふれ出てくる。吠える犬もいれば、隣人の玄関をひっかく犬もいる。鄭おばあさんの部屋の中も、拾ってきた廃品が積んであり、少なくとも1メートルの高さになっている。
▼玄関を開けるとあふれ出てくる犬
住人の一人、彭さんが言うには、「不動産会社が掃除をしたことがあり、その時は臭いが軽減されたが、ここに住んで1年経つとまた耐えられない臭いになってしまった。引っ越すつもりだ」という。彭さんの説明によれば、おばあさんは廃品を回収して生活しており、犬のえさはレストランから残り物をもらってきているのだという。「おばあさんはかわいそうだが、拾ってくる犬が多すぎる。隣近所の生活に大きな迷惑をかけている」と話す。
不動産会社の社員によれば「毎日午後に清掃員が、おばあさんの住んでいる階の廊下を特別に清掃して、消臭剤と消毒液も撒いている。にもかかわらず、おばあさんは管理費を入居以来3年間一度も払っていない。生活は困窮していて、娘も訪ねてこないからだ。この階の住人は出入りするときに犬を避けなければならず、警備員が2名体制で犬を棒で追い払えるように出入りのつきそいをしている」という。
▼犬と生活しているのは娘が飼い始めた犬がきっかけだった
このような状況だが、おばあさんの言い訳にも反論がしにくいという。彼女が言うには、最初に犬を飼い始めたのは娘だった。「娘が十代の頃、犬かテレビかどっちか買ってと泣きながらねだった。それで犬の方がテレビより安いから、犬を飼った。最初は思いもしなかったけど、飼いだすと愛情が湧いてきて、娘が家を出た後も、犬を娘の代わりと思って一緒に生活している」と話す。
おばあさんに犬を引き取り手があれば譲る気はないか聞いたところ、それでもかまわないという。「でも犬を本当に愛している人に譲りたい。この子たちを虐待させるわけにはいかない」と一言付け加えた。しかしその後よく考えて、やはり「私と犬たちは一蓮托生。この子たちがいるから毎日忙しくする気力がわいてくる。この子たちがいなかったら私はどうやっていきていけばいいかわからない」と話していた。
まとめ
おばあさんは貧しいながら、娘を女手一つで育てたが、娘は結婚して独立してしまった。そのため娘の残した犬を娘の代わりと思って、一人でさみしく生きていたのだ。
それにしても何十匹の犬を、一戸建てではなくマンションで飼うというのは、隣近所もさぞ迷惑しているだろう。これでは犬屋敷ならぬ犬マンション。部屋の中もゴミ屋敷のような状態だったので、もともと物を集めてしまう性格だったのかもしれない。
不動産会社や住人たちもなかなか強制的な手段に出られないというのが日本と似ていて面白い。中国も日本と同じように住人の権利と迷惑の問題に悩む時期に来ているのかもしれない。(了)
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【記事・翻訳:高晋】
Via/Pic:新浪网