中国遊牧民族の犬投げ?競技がなんかヤバい
今日もネタ探しのために中華ネットをうろついていると、何やら変な画像が出てきた。
犬的なものを馬の上で投げ合う男たち
これはなにかを・・・投げている?・・・ちょっと変な予感がする・・・これはなんか変だぞ!
・・・馬に乗りながら・・・投げているのは・・・犬にみえる。・・・馬に乗りながら犬を投げているのか?上手く・・・キャッチしなければならないのか?・・・後ろには旗が立っている。・・・大会かなにかか?これは一体なんだ!
一目見て変な予感がズガーンときた。
中華ネット特有のちょっと掘ってみたらすぐに精神的にズガーンなネタが出てくるこの感じ。
実はいつもかなりマイルドなネタを選んでいる。逆にそれが大変なのだ。
それはさておき、これは何か?この写真を見つけたページに書いてあった説明は一行だけ。
9月12日、第8回新疆(しんきょう)民運会が新疆の昌吉競馬場で行われ、「娘追い」、「羊さらい」、「1000メートル競馬」等の馬上種目が行われ、新疆の風情を見せつけた。
※新疆(しんきょう)=新疆(しんきょう)ウイグル自治区9月12日,第八届新疆民运会在新疆昌吉赛马场举行,姑娘追、叼羊、千米速度赛马等马上项目,展示新疆风情。
ふむふむ、新疆(しんきょう)ウイグル自治区でなにかの運動会らしいものが開かれたと・・・新疆ウイグル自治区と言えば、中国の西北の端っこ、ニワトリの形をした中国の羽の部分にある場所だ。
▼新疆ウイグル自治区はニワトリの羽の部分だと覚えると覚えやすいのだ
新疆ウイグル自治区はウイグル族やカザフ族、モンゴル族、回族(かいぞく)などのいわゆる中央アジアっぽい少数民族が住んでいる地域。カザフ族やモンゴル族は、遊牧民族というか、騎馬民族というか、モンゴル帝国・タルタルステーキ・マクドナルドの先祖、的な民族だ。
※気になる人はネットでハンバーグの由来を調べてみよう!
テキトーにまとめると、よく馬に乗って、羊とかを飼って暮らしている民族なわけだ。
▼カザフ族のイメージ(ちなみに中国のお隣りカザフスタンはカザフ族メインの国)
▼カザフ族は美女が多い(元バレーボールカザフ代表のサビーナ・アルシンベゴバ選手)
話は戻って、↓これだこれ、これは何だ!?
説明によれば、何かの運動会のようなもの?・・・が開催されたという。
気になるのは・・・その種目!
「1000メートル競馬」はいいとして、「娘追い」?「羊さらい」?ちょっと意味の分からない競技名が並ぶ。
これ以上掘るとやぶへびで長くなりすぎそうなので、写真でやっている犬投げ?っぽい競技はなにかを探ることにする。
しかし犬を投げている競技がなんなのかわからない。
「新疆 第8回民運会 犬」とか「新疆 犬投げ」とか色々検索してみた。しかしなかなか手がかりがみつからない。しかし写真が一つだけでてきた。
それがこれだ!
・・・やはり犬?を投げている!
こちらは玉入れの籠みたいなものに投げ込んでいるように見える。
はたしてこれは生きた犬なのか、それともぬいぐるみなのか?
ぬいぐるみであってほしい!(本音)
そしてそのページの次のページを見てみるともう1枚写真が出てきた。
なんか毛の塊的な何か(犬か?)を運んでいる。やはりぬいぐるみか。そうだと言ってくれ!
・・・この写真にはタイトルがあった。
「羊さらい競技」(叼羊比赛)
・・・
そう、これは最初に見たページの説明に書いてあった「羊さらい」だったのだ。
(ネタ探ししてた時は中国語の説明書きを斜め読みしてたので、羊さらいの単語をちゃんと認識してなかった)
早速「羊さらい」を百度百科(中国のWikipedia的なサイト)で調べてみた。
羊さらい(叼羊)とは
羊さらいとは一種の対抗性の強い、争奪激烈的運動だ。
叼羊是一种对抗性强、争夺剧烈的运动。
・・・?
2008年6月7日、「羊さらい」は国務院の批准により第2期国家級非物質文化遺産リストに入った。
2008年6月7日,叼羊经国务院批准列入第二批国家级非物质文化遗产名录。
ほう、無形文化財に指定されているということか
所属民族=カザフ族
所属民族 哈萨克族
なるほど、カザフ族の競技のようだ。
主催者が、首を切った羊を指定の位置に置き、号砲の合図で甲乙に分かれた2チームがともに羊に向かって疾駆して近づき、先に羊をかっさらったチームのメンバーが互いに援護して、極力ゴールに向かって奔走する。双方の騎手が各種技巧を見せつけ、囲いこんで、懸命に奪い合う。羊をさらったまま先にゴールに到着したほうが勝利。勝利者は現地の習俗に従い、その場で羊をこんがり焼いて、騎手たちで分け合い、「幸福肉」と呼ばれる。
主持人把一只割去头的羊放在指定处。枪响后,甲乙两队共同向羊飞驰而去,先抢到羊的同队队员互相掩护,极力向终点奔驰,双方骑手们施展各种技巧,围追堵截,拼命抢夺。叼着羊先到达终点的为胜方。获胜者按照当地的习俗,将羊当场烤熟,请众骑手共享,称为“幸福肉”。
・・・・・・
つまり・・・リアルだったわけだ。投げていたのは。・・・犬かという想像とはちょっと違ってたが、羊的な?・・・こう・・リアルな「もの」、本物的な羊を投げていたのだ。
探せばぞくぞく出てくる羊さらい情報
いきなりだが、ここで、「ランボー怒りのアフガン」というものにたどり着く。
というのも、もう少し情報を得たいと「カザフ族 羊さらい」で調べていると、「馬上ラグビー」という表現があったのだ。そこを掘っていくと、「ブズカシ」という単語があった。そこでその単語を調べると、出ました。
- ブズカシ(ペルシア語 بُزكشی Buzkashī, بُزکَشی Buzgashī )は2組の騎馬隊がヤギをボール代わりにして奪い合う競技で、アフガニスタンの国技である。ペルシャ語で「ヤギを引きずる」(「ヤギ」بُز buz + 「引く、引っ張る、引きずる」 كشی kashī )という意味である。
- 映画としては、シルヴェスター・スタローンが主演するランボーシリーズの第3品目、ランボー3/怒りのアフガンに登場する。
なんとこの競技はアフガニスタンの国技だったのだ。
そしてやはりリアルな「もの」を争奪する競技だという。
映像も出てきた。
この競技は実は有名で、私だけが知らなかったということなのか。世間知らずだったのか。でも犬投げ、もとい「羊さらい」なんて知ってる人は普通いないだろうと言いたい。スタローンファンは知ってるのか?
もう一つの競技「娘追い」というのも気になるが、これ以上掘ると戻れなくなりそうなので、ここまでにしておく。
▼以下「羊さらい」ギャラリーをお楽しみください。
「幸福肉」になった羊さん合掌!(了)
【関連地図】
- ウイグル自治区の省都ウルムチ(烏魯木斉)のすぐ郊外にある地域。昌吉には競馬場はいっぱいあるようで、今回の競馬場がどこだったかは特定できなかった。
- アクセス:ウルムチまでは日本から乗継便で直接行けるので、着いたら適当にバスでも乗れば小一時間で到着。
【記事・翻訳:高晋】