中国の十大歴史ある邸宅
中国は歴史の長い国だが、近年の経済発展で、多くの古い建物も壊されつつある。過去には戦争や文革などもあり、そのたびに破壊されてきたので、古い建物は実はあまり多くないのだ。そんな中国でも、古い建物が一部には残されている。今回中国のネットで、十大歴史ある邸宅が紹介されていたので、見てみよう。
中国の十大歴史ある邸宅
1.山西省の喬家大院
山西省祁県喬家堡村にある喬家大院は、清代の著名な金融業者、喬氏の邸宅だ。
喬家大院は清代の乾隆年間に建造され、その後幾度もの拡張が行われてきた。清代北方民間邸宅の独特な風格を現代に伝えている。
2.山西省の常家荘園
山西省晋中市榆次区東陽鎮東輞村にある常家荘園は、明末清初の時代に商売で成功して晋中の有望な一族となった常氏が故郷の東輞村に建てた広大な邸宅。
常氏一族は挙人(科挙に受かった人)や画家などの名士を輩出した。
3.四川省の劉氏荘園
四川省大邑県安仁鎮にある劉氏荘園は、大地主の劉氏が急速に蓄財した際に建てた邸宅。荘園の総面積は7万平米、350室を持つ広大な邸宅だ。
荘園内は、高い壁が取り囲み、複雑な装飾が施されている。
4.山西省の王家大院
山西省晋中市霊石県にある王家大院は、霊石県の四大氏族の一つと言われる太原王氏が清の中期に建てた邸宅。
王家大院は、その中国の伝統的な建築様式と邸宅の調度品から、「華夏民居第一宅」(中国中央部で第一等の邸宅)や「中国民間の故宮」と呼ばれている。
5.山西省の皇城相府
山西省晋城市北留鎮にある皇城相府は、清の康熙帝の教師だった清朝の名臣陳廷敬の邸宅だ。
代々この邸宅に住んだ陳氏の一族は、文化的な名族として知られており、明清の時代に多くの人材を輩出した。陳廷敬の祖父から五代にわたって隆盛を極めた陳氏もその後は没落し、残された邸宅には千戸もの住民が去来したという。
6.陝西省の姜氏荘園
陝西省米脂県にある姜氏荘園は陝北(陝西省北部)の大金持ち姜耀祖が巨費を投じて建てた私邸だ。
荘園の建築設計は精妙に作られており、中国最大の城塁式のヤオトン(黄土高原の横穴式住居)邸宅となっている。漢民族建築の宝ともいえる建築だ。
7.山東省の牟氏荘園
山東省の烟台栖霞市古鎮都村にある牟氏荘園は、牟二黒荘園とも呼ばれ、大地主の牟墨林の一族が数代にわたって起居した。
牟氏荘園は「中国民間の小故宮」とも呼ばれ、封建時代の地主階級の生活を知ることのできる「実物の百科事典」とも言われる。
8.河南省の康百万荘園
河南省の鞏義市康店鎮にある康百万荘園は、明末清初の建造。背に依邙山を、面前には洛水に臨み、「金亀探水」(金の亀が河水を探るがごとく=邸宅が金亀みたいに美しいということ)の美名を持つ。豫商(河南省の商人)の気風を代表する邸宅と言われる。
康百万の一族は十二代四百年にわたって富裕を極め、河南商人の成功の典型例となった。康百万荘園は現在も独特の建築様式で旅行者を引き寄せている。
9.重慶市の陳万宝荘園
重慶市涪陵区青羊鎮にある陳万宝荘園は、中国西部の特色ある民間邸宅だ。この邸宅は別名「石龍井」と呼ばれる。初期には「陳萼(ガク※)楼」とも言われたが、これは家主の陳万宝がアヘンを商って財を成したことからつけられた。部屋数は120以上、12年かけて建造された。
この陳万宝荘園は、四川省東部と江南の建築様式が結合した建築の模範と言われ、中国西南地区清代民間邸宅の最上と称される。
10.チベットのパイラ(帕拉)荘園
チベット自治区ギャンツェ県にあるパイラ荘園は、チベットの伝統的建築様式を持つ邸宅だ。
この邸宅はかつてチベットの大貴族のパイラ家の邸宅だった。旧チベットの三大領主貴族の邸宅の内、現在唯一完全な形を残している。
まとめ
中国は広いので、まだまだ歴史のある邸宅も各地に残っている。今回紹介された邸宅では、山西省が比較的多いようだ。山西省は山がちで町は点在していて人口も少ないので、残りやすかったのかもしれない。(了)
【記事:高晋】 /Picture from 腾讯
【参考】
※ 「萼」は植物の花の“がく”の漢字。けしの樹液は花のがくの下にできるケシ坊主と呼ばれる果実から採取される。この「萼」はケシ坊主のことを表している。
▼ケシ坊主
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