【中国絶景ニュース】チベット族のお祭りの朝、雨上がりに虹がさした
7月30日、“テント祭”というちょっと変な名前を付けられた祭りが始まった。祭りの会場となった草原にはたくさんのテントが建てられ、祭りの準備がされていた。未明から降り始めたが、雨は夜が明けるとともに止んだ。雨上がりの朝ぼらけに、テントの群れに虹がかかり、祭りの日の始まりを祝福した。
▼祭りの朝、雨あがりの空にまるで絵のような虹がかかった
四川省のチベット族自治区で石渠テント祭が開幕
7月30日、第9回康巴芸術祭のイベントの一つとして石渠県テント祭が開幕した。ザシカ草原(扎渓卡草原)で壮大な野外公演の演目が行われ、ジュクンド(玉樹)・雲南地方(ともにチベット族の多く住む地域)から来た一万人以上の民衆が鑑賞した。ザシカ草原の雨上がりの空にまるで絵のように虹が現れた。
テント祭の期間中、観光客は伝統的なテントの中の展示で、遊牧民の「水と草に沿って遊牧し、水と草を追って居を移す」と言われる伝統的な遊牧生活の文化を体感することができる。また、大きなタンカ(チベット族の綿織物に描かれた宗教画)や石彫芸術等も見ることができる。テントの中にある寺では、馬の背の上に載せて移設できる移動式テント寺を見ることができ、濃厚なチベット仏教文化の精髄を感じることができる。
▼ザスカ草原に建てられた多くのテント
参照記事(中新網)
四川藏区石渠帐篷节拉开序幕
7月30日,第九届康巴艺术节活动之一的石渠帐篷节拉开序幕,扎溪卡草原上美轮美奂的实景表演《向着太阳》吸引了来自玉树、云南上万民众观赏。扎溪卡草原上一场冰雹和雨后出现彩虹,景色如画。
帐篷节期间,游客可在民风民俗黑帐篷展示厅体验牧民“沿水草而牧,逐水草而居”的传统游牧文化,也可欣赏到千幅唐卡、石刻艺术等,在帐篷寺庙中,游客还能欣赏到驮在马背上任意搬迁的帐篷寺庙,感受浓郁的藏传佛教文化精髓。
▼テント祭会場の空撮
▼草原の上でチベット族が歌い踊る
▼『牧人謡』・『英雄韻』・『魚水情深』・『情洒扎溪卡』など民族の歌がテントの村の隅々まで響き渡る
▼つわものが馬術の腕を競う
▼家畜は遊牧民の宝・羊たちも行進する
チベット民話とナウシカ大海嘯の朝
遊牧民が歌い踊る様子を見ていると、漫画『風の谷のナウシカ』で、でかい粘菌が合体して“ヴォワー”と吐き出した後の朝(いわゆる大海嘯の次の朝)が連想される。蟲使いという蟲を飼う部族の人々が歌い踊る場面がある。もしかしたら何かのインスパイアがあるのかもしれない。
▼蟲使いが踊っている場面の次ぐらいのページ
というのも、宮崎駿氏の絵物語『シュナの旅』はチベット民話の『犬になった王子』という物語がモチーフになっていると聞いたことがあるからだ。チベット民話の『犬になった王子』は、君島久子さんという児童文学家・翻訳家が、戦後中国の研究者と交流し、採録された少数民族説話を翻訳して1960年代に出版した『白いりゅう黒いりゅう 』という中国の少数民族に伝わるお話を集めた本の中に収められた物語の一つ。『シュナの旅』が出版されたのは1983年。『犬になった王子』がモチーフになっているということは、宮崎駿氏は『白いりゅう黒いりゅう 』を読んだのだろう。チベット族の祭りが、ナウシカの一場面を思い出させるのは、中国の少数民族の物語がモチーフとなっているからかもしれない。
▼『犬になった王子』は単独で絵本として出版されたが、それはずっと後の話
- 日本画家・絵本画家の後藤仁さんの美しい絵で絵本となった。
- 画像/書籍情報引用元:amazon.co.jp『犬になった王子 チベットの民話』/岩波書店
時代の流れとともに少しずつ姿を変えながらも、中国の少数民族の人々は昔から受け継がれてきた暮らしと祭りの文化を守っている。中国の奥地にはまだまだ人を驚かせてくれる情景が日々繰り広げられているのだ。(了)
関連地図
- アクセス:石渠県の隣にある都市ジュクンド(玉樹)に空港があるので、そこまで飛行機で移動し、そこからバスに乗って石渠県まで行く。日本からの場合、西寧まで乗継便で行って、そこから国内線でジュクンドまで飛ぶ。ジュクンドから石渠県までは1日1本バスがあるので、それに乗って半日程度で到着。陸路にこだわる場合は、西寧からバスでジュクンドまで行って、石渠県行きのバスに乗る。もしくは成都から康定・色達県とバスを3回乗り継いで石渠県に行くかのどちらかとなる。成都からのルートはかなりきついと思われる。
▼石渠県の風景
【記事・翻訳:高晋】