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【中国たなぼたニュース】中国で住民が古代の文物発見!はたして損か得か?(3)

(2)の続き】

長い歴史のある中国、現在でも古代の文物があっちこっちから出てくるという。今回はそんな貴重なお宝を見つけてしまった中国の人々の姿を紹介する。(最終回)

兵馬俑を発見して名士の地位をゲットした農民

2014年11月30日、陝西省臨潼、楊志発さんの家の前には“兵馬俑発見者”と書かれたプレートが立っている。楊志発さんは「1959年に軍に入隊して、5年後に退役した。1974年、私と他の村人が井戸を掘っているときに、兵馬俑を発見したんだ。発見したとき人型の俑の足元に矢じりがあった。これは普通の廟においてある像にはないものだった。でも当時は誰も出てきたものには関わろうとはしないで、ただみんな遠巻きに見ているだけだった。そこで私は政府の文物部門の人に見に来てもらおうと思った。これがもし文物だったら国のものだし、文物じゃなかったら、井戸を掘るのを再開できると思ったんだ」と語る。

▼“兵馬俑発見者”と書かれた家の前でドヤ顔でたたずむ楊志発さん

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兵馬俑の発見者とされた楊志発さんは、一躍時の人となった。1984年には本籍地の湖北省の村の党書記となり、1997年には湖北省の第9回人民代表大会代表の一人にも選ばれた。1998年には、兵馬俑を訪れたクリントン大統領夫婦を案内してサイン本を贈った。

▼楊さんの発見した兵馬俑、20世紀最大の考古学的発見の一つとも言われる

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クリントン元大統領とも面会した楊さん

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その後、兵馬俑博物館の名誉館長に任命され、月々8000元の給与を得ているという。現在は不定期に博物館にやってきて、参観者にサインをする日々を過ごしている。

楊志発さんは兵馬俑の発見で有名人となり、その後も名士と言うべき地位をゲットすることに成功したのだ。

▼博物館の中で気ままにサインをして過ごす楊さん

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▼TVの取材に「ぶっちゃけおれの人生超ラッキーじゃね?」という雰囲気を出す楊さん

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自分の家の裏庭で土を掘っていたら、10億円相当の青銅器が出てきた!

2014年10月16日、陝西省宝鶏市高新区千河鎮魏家崖村の農民、魏炳祥さんは自分の家の裏庭で土を掘っていたら、12個の土の塊を発見した。よく洗い流してみると、12個の青銅器だった。魏炳祥さんの息子、魏沙さんは、出土した文物は国のもので、私物化するのは違法だととわかっていた。そのため「父からの電話で状況を聞いてすぐに、急いで国に寄付するよう勧めた。家には置いておけないと思った」という。

骨董市場では、古代の青銅器は一個でも日本円にして億の単位で取引されているので、あわせて10億円以上の価値があった可能性がある。

▼魏炳祥さんの家の裏庭から出てきた青銅器

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億単位の青銅の鼎を自ら政府の文物部門に寄付してひと安心?

2013年12月5日、湖北省南漳県武安鎮趙家営村の村民、羅正洪さんはバイクに乗って村の入り口を通っていたとき、青銅の鼎が道端に落ちているのを発見した。文物に関する知識があった彼は、すぐに南漳県の関連部門に報告した。この青銅器は考古学研究所の専門家による考証により、春秋時代(紀元前770年~紀元前403年頃)中頃から後期の文物であると判断された。「文物はもともと国家のものだよ!」と羅正洪さんは笑いながら話す。当時はこの文物がはたしていくらの価値があるものかは分からず、ただ「政府の文物部門に寄付すれば安心」と考えていたという。

この鼎は3000年近く前の青銅器なので、割れているとはいえ、日本円で億単位の価値がついた可能性がある。

▼羅正洪さんが村の入り口で見つけた青銅器

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▼『項羽と劉邦』の覇王項羽は片手で鼎を持ち上げたという伝説がある

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家の基礎を掘っていたら、“太公望の娘”の墓の副葬品を発見してしまった 

2012年、陝西省宝鶏市渭濱区石嘴頭村の村民が家の基礎を掘っていた時、青銅器を発見したため、すぐに政府の文物部門に報告した。専門家の考証により、この場所にある古墳の主が歴史上でも有名な太公望の娘、邑姜であることが分かった。

太公望の娘の墓から出てきた副葬品。当時はTVでドキュメンタリーも放送された

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邑姜は封神演義にも登場する伝説的な人物で、太公望呂尚の娘にして周王朝初代王武王の王妃でもあり、史記などの歴史書にも出てくる超有名人。メソポタミア文明で言えばハンムラビ王の妻の墓が突然出てきたのと同じぐらいの出来事だ。文物をコレクターに流せばそれこそ天文学的な価値がついたかもしれない。しかしこのような貴重な文化財が流出することがなくてよかったというべきかもしれない。

▼ニューヨーク、メトロポリタン美術館に展示されている周代の副葬品の青銅器

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▼少年ジャンプ連載の漫画『封神演義』にも出てきた邑姜

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羊を放牧していたら明代の鉄製大砲14門を発見→耳を揃えて寄付 

2009年7月31日、秦皇島撫寧県大新塞鎮程家溝で14門の鉄製大砲が出土した。県の文物管理所の所長趙子英さんによれば、出土したのは長さ1メートル重さ85キロの竹筒状の大砲で、明朝の時代(1368年 - 1644年)に万里の長城を防御するために設置された400年以上前の物だという。情報によればその年は雨が多く、地下深くに埋まっていた大砲が雨水で地表に出てきたため、羊を放牧していた村民に万里の長城の下で発見されたのだという。

▼羊の放牧中に発見された大砲

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▼ぶっちゃけ重くてめんどくさくね?という感じの皆さん

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▼俺らの本分は羊飼いだよ。金にならない大砲なんて発見して損した?

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さすが中国と言うべきか、古代の超貴重なお宝がゴロゴロ出てくるのが面白い。中国で青銅器を発見したら億万長者になれるかも?でも出土した古代の文物を私物化するのは違法なのでくれぐれも注意。“模範的”に政府に提出するようにしよう。(了)

 

 

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【関連地図】

今回の記事で2回も出てきた宝鶏市は陝西省西安の西隣に位置する都市だ。

観光地としてはあまり有名なものはないが、周王朝の発祥地岐山があることでも有名。

三国時代に蜀の諸葛亮と魏の郝昭が戦ったかつての陳倉もこの宝鶏市内にある

 

 

【翻訳・記事:高晋】

Sauce:湖南大雨冲出青铜器 农民捡到上交获2万奖励_新闻_腾讯网