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【中国たなぼたニュース】中国で住民が古代の文物発見!はたして損か得か?(1)

長い歴史のある中国、現在でも古代の文物があっちこっちから出てくるという。今回はそんな貴重なお宝を見つけてしまった中国の人々の姿を紹介する。

推定価値3億円の青銅器を寄付して34万円の報奨金ゲットの農民

7月20日、湖南省吉首市の農民張智林さんは一枚の『栄誉証書(名誉感謝状)』と2万元(34万円)の報奨金をゲットした。国家2級文物である戦国時代の青銅扁鐘を政府に自分の意志で寄付したからだという。

(中国の戦国時代=紀元前403年~紀元前221年)

▼文物局の担当者に青銅器を手渡す張智林さん

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張さんは、6月下旬の大雨が続く中(7月の中国大洪水を起こした大雨と思われる)、住んでいる村の田んぼの畝(うね)が崩れたところで、一つの青銅器を発見したという。表面には突出した紋様がつけられていた。家に持って帰って、村の人々と観察しながら喧々諤々と議論をしたが、お宝を拾ったに違いないだろうという話となった。拾った場所は、1950年代と90年代にも青銅器が発見されたことがあったので、張さんもこの青銅器も文物に違いないと考え、自分の意志で市の文物局に寄付することにしたのだ。専門家の初歩的な鑑定では、この青銅器は、戦国時代の青銅扁鐘であり、祭祀などのときに用いる器物に分類されるもので、国家2級以上の文物であるとされた。この扁鐘は深い緑色をしており、幾分サビのあとが見られるものの、2000年以上の歴史を経た今もなお全体に整った外観を保っていた。

中国の青銅器 - Wikipedia

▼古代の青銅器が発見された場所

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張さんには青銅器の真贋が確定したあとで、吉首市から『中華人民共和国文物法』の関連規定に基づいて、張さんが自分の意志で文物を寄付したという行為に対して2万元の報奨金が支払われるという。張さんは決して裕福ではないにもかかわらず「文物は国家のものであることは分かっているので、発見したら国家に寄付するのが当然」と語る。現在扁鐘は吉首市の文物局で保管され、専門家の本格的な鑑定を待っているという。

▼発見された青銅扁鐘

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さすがは中国、戦国時代の青銅器が国家2級文物でしかないことが驚きだ。これが日本ならば中国青銅器のコレクションで知られる根津美術館泉屋博古館に収蔵される重要文化財レベルの文物になるだろう。

考古|根津美術館

青銅器館紹介|泉屋博古館 住友コレクション

根津美術館に収蔵されている中国古代の青銅器

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現在バブルにより骨董ブームが巻き起こっている中国では、数百年前の骨董に何千万円もの価格がついて取引されることも珍しくない。

 

▼バブルによる骨董品の価格高騰を語る中国人のバイヤー

中国有数の古美術品コレクターの王さんに取材。清の時代の置物は京都で購入したもの。また、青銅器は3000年前中国で作られたもの中国では3億円にもなると嬉しそうに話す。

要約「所さん!大変ですよ お宝が中国に続出 謎のオークションに潜入」▽爆買い戻し現象【2016年6月16日(木)放送内容 NHK】 - yonta64のテレビ番組ブログ

 

農民の張さんは寄付することで2万元の報奨金をゲットしたが、このような2000年以上前の博物館に展示されるレベルの希少な文物は、寄付せずに市場で売れば、報奨金の百倍、いやもしくは千倍の価値がついてもおかしくなかったかもしれない。

億万長者になるチャンスを逃した彼の選択ははたして正しかったのだろうか。ただ農村の収入からいえば、2万元でも結構ホクホクだろうことは間違いない。 

文物の“国への寄付”をドラマで宣伝する中国 

最近中国では、“国に寄付”というワードがネットで注目されているらしい。このワードはもともとは現在放映中のドラマ『盗墓筆記(盗掘記)』の中で出てきた言葉だ。

▼ドラマ『盗墓筆記(盗掘記)』

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ドラマの中では自分たちが盗掘しているのにもかかわらず、主人公が何度も「この文物を国に寄付しよう」と言うため、まるで「文物は国のもので、勝手に自分のものにするのは違法だ」という考え方を宣伝しているかのように聞こえるという。しかも原作の内容と矛盾しているので、このお堅いセリフがあまりにも唐突だと、逆にネットで注目されることになっているという。

▼ドラマの中で「俺はこの文物を絶対に国に返すぜ」と語る主人公

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さて、次は金を拾っても自分のものにしなかった模範的な人々を見てみよう。

84歳のおばあちゃんが骨董価値のあるモーゼルの拳銃を警察に寄付 

 2016年1月23日、老齢の盧方旭さんは古い衣服を片づけていたとき、家の木箱からモーゼルの拳銃と実弾を発見。死別した夫が生前に保管していたものだろうと考え、警察に提出した。この行動は警察から称賛されることとなった。

▼盧方旭さんが提出したモーゼルの拳銃

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警察関係者によれば、この銃はかつてドイツから輸入された本物のモーゼルの拳銃に間違いないとのこと。情報によれば、盧方旭さんの夫はかつて解放戦争(第2次世界大戦の抗日戦争及び国共内戦)に参加し、その後警察の派出所と司法局で働いたことのある人物だったという。

モーゼルの拳銃は清朝末期以降の中国の軍人や馬賊にも愛用されたという

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この銃は18世紀末から19世紀前半にドイツ帝国で生産された、モーゼルC96似たタイプの骨董級の銃であるようだ。また解放戦争の時代に使われたという付加価値を考えれば、中国の骨董市場で取引された場合、破格の値段がついたであろうことは想像に難くない。

モーゼルC96

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モーゼルC96 - Wikipedia

こちらも、寄付したことがはたしてよかったのか損したのかわからないのが面白いところだ。

 

文物を拾ったけど寄付してしまった人々の話はまだまだある。続きは次回。

(2)に続く】

 

 

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中国のバブルによる骨董ブームと爆買い、価格高騰の状況に関する記事

古美術品が日本から消える!? 中国人“もうひとつの爆買いツアー”(1ページ目) - デイリーニュースオンライン

 

 

【関連地図】

湖南省西部は少数民族も多く住む地域。秘境、張家界もこの地域にある。

 

 

【翻訳・記事:高晋】

Sauce:湖南大雨冲出青铜器 农民捡到上交获2万奖励_新闻_腾讯网